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朝霞は日本の芸術を支える街だった!〜絵の具会社から未来の芸術家を育てるアトリエ村まで〜

絵の具づくりの職人たち「株式会社クサカベ」

絵の具がどのように作られているか知っていますか?
ここ、朝霞にある株式会社クサカベは創業昭和3年の老舗絵の具メーカー。
水彩絵の具はもちろん、油絵の具や世界で初めての水性アルキド樹脂絵の具を作っているのです。

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早速、技術開発部の松本さんに絵の具工場を案内して頂きました!
まずは油絵の具の作り方を。名前の通り、原料は油と顔料。色によって油の種類も使いわけているそうです。

まずここで、油とステアリン酸を混ぜます。(ここでは、油絵の具がチューブの中で分離しないようにするため)

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実は、色によって全てレシピが違うんです!
165色を製作しているクサカベでは165もの絵の具の配合レシピがあるということ!それをなんと、全て手作業で行なっているのです。

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さて、先ほど配合したものを、今度はミキサーにかけていきます。
この機械でダマ状になっているものをほぐし、なめらかにしていきます。ダマは色ムラのもと。艶のある絵の具にするため、この3本ロールミルに4、5回繰り返しかけていきます。このロールの材質も数種類あり、色(顔料)によって使い分けています。本当に丁寧で、手間のかかる作業を繰り返しているのです。

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滑らかになった絵の具を今度は品質管理室で、細かくチェック。ここの作業も職人仕事。

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基準となる絵の具と、色、粘度、粒の荒さ全てを比べ、基準から少しでも外れているものは、前の過程に戻してやり直し。油絵の具はその後、1ヶ月ほど寝かせてできあがり。

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1色の油絵の具を作るのにこれだけの手間と時間をかけて作っているのです。

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さて、株式会社クサカベでは、最近新しい絵の具が発売したそう。世界でもここでしか作られていない絵の具「アキーラ」は紙やキャンバスだけではなく、金属やガラスにも直接描くことができる、世界で初めての水性ながら油性の性質をもつ絵の具。そのため、油絵の具とも併用ができるのです。

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社内にはアキーラで描いた作品があちらこちらに飾られていました。アキーラで描いた絵画コンテストも開催しているそうです。
工場見学は、絵の講習会と共に大人も子供も事前予約で参加可能!ぜひ、冬休みや夏休みの自由研究に、親子で参加するのも楽しいかもしれません!

◆info◆
株式会社クサカベ
〒351-0014 埼玉県朝霞市膝折3-3-8
048-465-7756
http://www.kusakabe-enogu.co.jp/

朝霞の歴史も芸術も「朝霞市博物館」

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次に訪れたのは朝霞市博物館。
広々とした展示室では、朝霞の考古、歴史、民俗、美術工芸の4分野を学ぶことのできる常設展の他に、様々な企画展も開催しています。

ちょうど博物館を訪れた時は、市政施行50周年記念として、「アート×朝霞 丸沼芸術美術の森U50作家たちによる」展が開催中でした。

丸沼芸術の森は、朝霞にある若手芸術家のためのアトリエ村。世界的に有名な村上隆氏や、国際的に活躍するアーティストも数多く出ているのです。
こちらはこの後訪れたのでまた下記で詳しく!

大橋博「STORY TELLER」(中央)及びバージニア・クリセヴィシュート「無題」(左)

大橋博「STORY TELLER」(中央)及びバージニア・クリセヴィシュート「無題」(左)

エントランスには、大橋博氏の作品である高さ3メートルの巨大ウサギがお出迎え。真っ黒のウサギの体をよく見るとたくさんのぬいぐるみやキャラクターで覆い尽くされていました。一瞬ぞっとしたのですが、そこに佇む寂しさと滑稽さに何度も何度も振り返ってしまい、なぜかかわいくさえも思ってしまう魅力がありました。

入江明日香「江戸淡墨大桜」

入江明日香「江戸淡墨大桜」

入江明日香氏の六曲一隻屏風「江戸淡墨大桜」。現代と江戸時代を交錯する桜をダイナミックに描いた作品。銅版画のコラージュは圧巻で、色彩の美しさと生命力に、思わず屏風を前に立ち尽くしてしまいました。丸沼芸術の森で、実際にご本人にお会いし、アトリエも見学をさせてもらったのですが、制作途中の作品を間近で拝見し、銅版画特有の線の細やかさ、何層にも重なった繊細な色彩、そして世界観に惹きこまれてしまいました。

儀保克幸「廻り道」

儀保克幸「廻り道」

13作家の作品が展示されており、朝霞で育まれた作品を存分に堪能できる展示会でした。残念ながら、会期は終了してしまいましたが、現在は、朝霞で発掘された縄文時代の終わりから弥生時代にかけての土器に注目した企画展「装飾壺からみた弥生時代の朝霞」展を開催しています。子供達向けの体験講座や、講演会なども行なっているのでぜひチェックしてみてください。

◆info◆
朝霞市博物館
〒351-0007 埼玉県朝霞市岡2-7-22
048-469-2285
開館時間:午前9:00-午後5:00
休館日:毎週月曜日、第4金曜日、祝日の翌日、年末年始
入館料:無料
http://www.city.asaka.lg.jp/soshiki/42/museum.html

若手芸術家のアトリエ村「丸沼芸術の森」

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丸沼芸術の森は、創設者の須崎勝茂氏が趣味として、陶芸を始めた際、若手芸術家たちが制作場所を見つけることがいかに大変かを知ったことから、30年以上前に、自らの所有地をアトリエとして提供し支援したことが始まりです。以来、国内外含め40人以上の芸術家を世に送り出してきました。その中には世界で脚光を浴びている村上隆氏や、国際芸術祭などで活躍する芸術家が多数ここから輩出されているのです。

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さて、今回の取材時、水彩画の巨匠とよばれるアンドリュー・ワイエス生誕100周年記念の企画展が行われていました。丸沼芸術の森では、若手芸術家の光となるべく様々なコレクションを所蔵しています。その中で、アンドリュー・ワイエスの作品群は約238点にのぼり、ワイエス家に次いで2番目に所有しているそうです。ワイエスの作品シリーズの中でもMOMAに展示されている「クリスティーナの世界」の習作が全てここにコレクションされていました。

作品の写真は撮影することはできませんでしたが、彼の習作群は本当に素晴らしく、見事でした。緻密に描かれた彼の作品は、身近な風景やワイエス自身のとても親しい人を丁寧に何枚も何枚も描きこみ、リアリティを残しながらも、絵の中に光と陰を映し出していました。

ワイエスが好んで描いたとされるクリスティーナとアルヴァロ姉弟やオルソンハウスの習作をみることで、彼がどんな思いで彼らを、彼らの日常を描いていたか。そして、絵の中で彼がどこに気持ちを置いて描いたのかがよく分かります。

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今回の展示には、全国各地からワイエスの作品をみるために、多くの人々がこの丸沼芸術の森を訪れていました。ワイエスの絵に共感し、絵の前で涙を流しながら立ち尽くす人もいたそうです。

残念ながら、展示会は終了してしまいましたが、またいつかワイエス展をこの丸沼芸術の森や、美術館で見ることができる機会がありましたら、是非足を運んでみてください。

◆info◆
丸沼芸術の森
〒351-0001 埼玉県朝霞市上内間木493-1
048-456-2583
http://marunuma-artpark.co.jp/
※常設展は行っていないため、来場前に展覧会スケジュールのご確認をお願いいたします。